賃貸経営は安定度の高い資産活用法と言われていますが、近年では入居者の獲得競争が激しくなっており、継続的に収益を上げるのは簡単ではなくなってきています。その理由はいろいろありますが、中でも影響が大きいのは国全体の少子高齢化です。従来、賃貸住宅の主要な利用者と言えば一人暮らしの学生や若いファミリー層などであり、特に大学や企業の多い東京ではその傾向が顕著でしたが、近年ではこうした世代の人口が減少していて、東京都内でアパートやマンションを利用する人たちも少なくなってきました。そのため、入居者を募集してもなかなか集まらない、という状態が珍しくなくなってきています。
こうした中、物件オーナーの間でも入居者獲得に向けたさまざまな対策を講じる動きが見られますが、その1つとして注目されているのが、シニア世代に向けた積極的なアピールです。シニア世代と言えば以前は住宅を自ら購入して暮らす人が一般的でしたが、価値観の多様化により近年では持ち家にこだわらない人も増えています。東京は土地代も高額なので、無理に購入・維持するよりは賃貸暮らしの方が気軽だという声もしばしば聞かれます。このような流れを受け、賃貸物件をシニア向けにカスタマイズすれば、稼働率の向上が期待できます。
住戸内や共用部分にバリアフリー設計を取り入れる、保証会社を利用することで連帯保証人がいなくても借りやすくする、などの工夫を凝らせば、シニアの人たちも安心して入居することが可能になります。